日米国際結婚のリアル
日米国際結婚というと、響きだけ聞けばとてもロマンチックです。
違う国で育った二人が出会い、文化や言葉の違いを越えて家族になるというのは、それだけで一つの大きな人生のストーリーだと思います。
ただ、実際に自分がその立場になってみると、国際結婚はロマンだけでは終わらないことがすぐに分かります。
私の場合は、結婚の申請をニューヨーク州のマンハッタンで行い、その後、子どもはニュージャージー州で生まれました。
この流れを経験してみて強く感じたのは、日米国際結婚では「結婚する場所」「住んでいる州」「子どもが生まれる州」「日本側に届け出るタイミング」がそれぞれ別々に関係してくるため、一つひとつの手続きを整理しておかないと、後から戸籍、パスポート、出生証明、ビザ、税務などで混乱しやすいということです。
今回は、私自身のケースをベースに、マンハッタンで結婚申請をした場合の流れ、ニュージャージー州で子どもが生まれた場合に意識すべきこと、そして日米国際結婚で見落としがちな注意点について、できるだけ実体験に近い形で整理してみたいと思います。
まず、マンハッタンで結婚申請するということ
ニューヨーク市で結婚する場合、最初の大きなステップは Marriage License の取得です。
日本の感覚だと「婚姻届を出せば結婚成立」というイメージが強いですが、ニューヨークではまず結婚ライセンスを取得し、その後に法的に認められた形でセレモニーを行い、最終的に結婚が登録されるという流れになります。
ニューヨーク市のCity Clerkでは、18歳以上の二人であれば、Marriage Licenseの申請フォームをオンラインで入力できる仕組みがあります。
ただし、ここで注意したいのは、Marriage Licenseを取っただけでは、まだ結婚が完了したわけではないという点です。
ライセンスはあくまで「これから結婚するための許可」のようなものであり、その後にLicensed Officiantを通した結婚式もしくはCivil Ceremonyを行い、正式に登録されて初めて、Marriage Certificateが婚姻証明として使えるようになります。
私自身も、アメリカの結婚手続きは日本の婚姻届とはかなり感覚が違うと感じました。
日本では役所に書類を出して受理されることが中心ですが、ニューヨークでは「申請」「ライセンス」「セレモニー」「証明書」という段階があり、同じ結婚でも、制度の作り方がまったく違うのです。
City Hallだけじゃない:Licensed Officiantを通した結婚式は、かなり個人的なアレンジができる
マンハッタンで結婚申請をする場合、多くの人がまずイメージするのは、City Clerkで行うシンプルなCivil Ceremonyかもしれません。
ニューヨーク市のCity Clerkでは、Marriage Licenseを取得したうえで、市のオフィスで結婚式を行うことができますし、これは手続きとして非常に分かりやすく、短時間で法的に結婚を成立させたい人にはとても便利な方法です。
ただ、実際にはもう一つの選択肢があります。
それが、Licensed Officiant、つまり法的に結婚式を執り行う資格を持つ司式者を通して、自分たちらしい結婚式を行う方法です。
ニューヨーク市では、結婚式を執り行う人は、事前にOffice of the City Clerkへ登録している必要があります。ニューヨーク市の案内でも、ニューヨーク市内でMarriage Ceremonyを行う人は、式を行う前にCity Clerkへ登録しなければならないとされています。(cityclerkforms.nyc.gov)
このLicensed Officiantを通す方法の良いところは、法的な結婚手続きをきちんと満たしながら、式の内容そのものはかなり自由に設計できることです。
例えば、City Hallの短いセレモニーではなく、二人の出会いのストーリーを入れたり、家族への感謝の言葉を入れたり、聖書の言葉や祈りを加えたり、日本語と英語の両方で誓いの言葉を読むこともできます。
日米国際結婚の場合、この自由度はかなり大きな意味を持つと思います。
なぜなら、二人の家族や友人の中には、日本語の方が分かりやすい人もいれば、英語の方が自然な人もいるからです。
Licensed Officiantを通した式であれば、例えば最初の挨拶は英語、家族への感謝は日本語、誓いの言葉は二人それぞれの言語、最後の宣言は英語というように、自分たちの家族構成や文化背景に合わせて式を組み立てることができます。
また、宗教的な要素を入れるかどうかも、かなり柔軟に考えることができます。
クリスチャンの家庭であれば、牧師や登録済みの宗教者に司式してもらい、祈りや聖書朗読を入れることもできますし、宗教色を抑えたい場合は、よりカジュアルでパーソナルな雰囲気のOfficiantに依頼することもできます。
つまり、Licensed Officiantを通した結婚式は、単に「役所ではない場所で結婚できる」というだけではなく、二人の信仰、文化、家族関係、言語、人生観を式の中に反映できる方法なのです。
個人的には、日米国際結婚ではこの点がとても大切だと思います。
国際結婚は、二人だけでなく、二つの文化、二つの家族、二つの言語をつなぐ出来事でもあります。
だからこそ、結婚式も単に法的な手続きとして終わらせるのではなく、「自分たちはどんな家族を作っていきたいのか」を表現する場にできると、後から振り返ったときにとても意味のある時間になります。
ただし、ここで注意したいのは、どれだけ式を自由にアレンジしても、法的な要件はきちんと満たす必要があるという点です。
ニューヨーク市内で式を行う場合、OfficiantがCity Clerkに登録されているかどうかを確認することが大切です。NYC311でも、ニューヨーク市で結婚式を執り行うにはOffice of the City Clerkへの登録が必要であり、登録済みOfficiantかどうかを確認できると案内されています。(portal.311.nyc.gov)
また、式が終わった後は、Marriage Licenseへの署名や提出などの事務処理が必要になります。
この部分を間違えると、せっかく式を行ってもMarriage Certificateの発行が遅れたり、書類の修正が必要になったりする可能性があります。
そのため、Licensed Officiantに依頼する場合は、式の雰囲気や人柄だけでなく、ニューヨーク市での手続きに慣れているか、Marriage Licenseの記入や提出の流れを理解しているかも確認しておくと安心です。
私自身、マンハッタンで結婚申請をした経験を通じて感じたのは、アメリカの結婚手続きは日本よりも「セレモニー」という要素が制度の中にしっかり入っているということです。
日本では婚姻届を役所に出せば法的な結婚が成立するため、式はどちらかというと任意のイベントという感覚が強いかもしれません。
一方、ニューヨークではMarriage Licenseを取得したあと、誰かが法的に結婚式を執り行い、その記録を完成させることが重要になります。
だからこそ、Licensed Officiantをどう選ぶかは、単なる演出の問題ではなく、法的手続きと家族の思い出の両方に関わる大事な選択になります。
日米国際結婚で、自分たちらしい言葉、自分たちらしい誓い、自分たちらしい雰囲気を大切にしたい場合は、City ClerkでのCivil Ceremonyだけでなく、Licensed Officiantを通した結婚式もかなり良い選択肢だと思います。
ニューヨークで結婚したら、日本側にも届け出る必要がある
アメリカで結婚した場合、その結婚はアメリカでは有効ですが、日本人側の戸籍に自動で反映されるわけではありません。
ここは、日米国際結婚でかなり重要なポイントです。
日本人が外国の方式で結婚した場合、日本の戸籍にもその婚姻事実を反映させるため、日本大使館・総領事館または日本の市区町村役場へ婚姻届を提出する必要があります。
私のようにニューヨークで結婚申請をした場合、在ニューヨーク日本国総領事館が関係してくることがあります。
同総領事館では、パスポート、証明、戸籍・国籍関係の届出などについて予約制を案内しており、婚姻届や出生届のような家族関係の手続きでも、事前に必要書類や予約方法を確認しておくことが大切です。
日本側への婚姻届は、「アメリカでの結婚をもう一度やり直す」という意味ではありません。
すでにニューヨークで成立した婚姻を、日本の戸籍に反映させるための手続きです。
しかし、この手続きを忘れると、日本の戸籍上は婚姻が反映されていない状態になり、将来的に子どもの出生届、日本のパスポート、相続、戸籍謄本の提出が必要な場面などで説明が複雑になります。
日本側へ婚姻届を出すときに必要になる書類
ニューヨークで結婚が成立したあと、日本側へ婚姻届を出すときにまず意識したいのは、この手続きが「日本で新しく結婚する手続き」ではなく、「アメリカで成立した結婚を日本の戸籍に反映させる手続き」だという点です。
つまり、ニューヨーク市でMarriage Certificateを取得した時点で、アメリカ側では結婚が成立しています。
ただし、日本人配偶者の戸籍にはその情報が自動的に反映されないため、日本側へ婚姻届を提出し、戸籍に「外国方式で婚姻した」という事実を記載してもらう必要があります。
外務省の案内でも、日本人と外国人が外国の方式で婚姻した場合、日本人の戸籍に婚姻の事実を記載するため、在外公館または日本の市区町村役場へ届け出る必要があり、届出期間は婚姻成立日から3か月以内とされています。
実際に準備する書類として中心になるのは、まず 婚姻届 です。
これは日本の戸籍に婚姻事実を反映させるための届出書で、在外公館にも備え付けられていますし、外務省のページからPDFをダウンロードすることもできます。
外務省の案内では、届書はすべて日本語で記入し、インターネットやメールでの受付は行っておらず、印刷して必要事項を手書きしたうえで在外公館などに提出する形になると説明されています。
次に必要になるのが、アメリカ側の婚姻証明書 です。
ニューヨークで結婚した場合は、ニューヨーク市などから発行されるMarriage Certificateがこれにあたります。
日本側に提出する際には、原本と日本語訳が必要になるのが一般的で、外務省の案内でも、日本人と外国人が外国方式で婚姻した場合の必要書類として、婚姻証明書の原本および和訳文が挙げられています。
ここで少し面倒に感じるのが、翻訳です。
Marriage Certificateは当然ながら英語で発行されるため、日本側に提出するには日本語訳を添付する必要があります。
翻訳は専門の翻訳会社でなければならない場合もあれば、本人や家族が翻訳してよい場合もありますが、提出先によって運用が違うことがあるため、在ニューヨーク日本国総領事館または提出予定の市区町村役場に事前確認しておくのが安全です。
私が婚姻届を提出した際は在ニューヨーク日本国総領事館指定の様式に自分でサンプルに沿って翻訳しました。
さらに、外国人配偶者については、婚姻時の国籍を証明する書類 も必要になります。
アメリカ人配偶者の場合、一般的にはアメリカのパスポートや出生証明書などが関係することがありますが、どの書類を認めるかは提出先によって確認が必要です。
外務省の案内でも、日本人と外国人が外国方式で婚姻した場合には、外国人配偶者の婚姻時の国籍を証する書面とその和訳文が必要書類として挙げられています。
私の場合、妻のアメリカのパスポート原本と在ニューヨーク日本国総領事館指定の様式に翻訳を記載した書類を提出しました。
また、以前は戸籍謄本の準備も気になるポイントでしたが、外務省によると、2024年4月1日以降、在外公館に提出する戸籍・国籍関係の届出については、原則として戸籍謄本の添付が不要になっています。
ただし、本籍地で戸籍情報が電算化されていない場合には戸籍謄本が必要になるとされているため、自分の本籍地の状況によっては確認が必要です。
実務的には、以下のような書類を準備するイメージになります。
| 書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 婚姻届 | 日本側へ婚姻事実を届け出るための書類です。外務省や在外公館の案内に従って、日本語で記入します。 |
| Marriage Certificate | ニューヨークで婚姻が成立したことを示すアメリカ側の婚姻証明書です。原本が必要になるのが一般的です。 |
| Marriage Certificateの日本語訳 | 英語の婚姻証明書を日本側で読めるようにするための訳文です。翻訳者名の記載が必要になる場合があります。 |
| 外国人配偶者の国籍証明書類 | アメリカ人配偶者の場合、パスポートや出生証明書などが関係することがあります。提出先に事前確認するのが安全です。 |
| 国籍証明書類の日本語訳 | 外国人配偶者の国籍を示す書類が英語の場合、日本語訳が必要になります。 |
| 日本人配偶者の本人確認書類 | パスポートなど、日本人配偶者本人を確認できる書類を求められることがあります。 |
| 日本人配偶者の米国での滞在資格が 確認できる書類 | 米国ビザ・グリーンカード等 |
| 戸籍謄本 | 在外公館への届出では原則不要になっていますが、本籍地の戸籍情報が電算化されていない場合などは必要になることがあります。 |
ここで大切なのは、必要書類をネット情報だけで決め打ちしないことです。
婚姻届そのものは全国共通の戸籍手続きですが、外国で発行された証明書の扱い、翻訳文の形式、必要部数、原本を返してもらえるかどうか、郵送受付の可否などは、提出先によって細かく違うことがあります。
外務省も、各届に求められる証明書類の様式や記載事項は国や届出状況によって異なるため、詳細は最寄りの在外公館または日本の市区町村役場に直接問い合わせるよう案内しています。
個人的には、マンハッタンで結婚した場合は、まずニューヨーク市のMarriage Certificateを取得し、そのCertified Copyを手元に置いたうえで、在ニューヨーク日本国総領事館に「ニューヨークでアメリカ人配偶者と結婚したので、日本側へ婚姻届を出したい」と伝えて、最新の必要書類リストを確認するのが一番安心だと思います。
特に、Marriage Certificateの名前のスペル、婚姻日、場所、配偶者情報、日本語訳の表記は、後から戸籍に反映される可能性があるため、かなり慎重に確認した方がよいです。
ここで表記がずれると、将来、子どもの出生届、日本のパスポート申請、配偶者ビザ、相続、戸籍謄本の提出などで余計な説明が必要になることがあります。
日米国際結婚では、アメリカ側で結婚が成立した時点で気持ちとしては一段落しますが、日本側の婚姻届まで終わって初めて、「両方の国で家族の記録がつながった」と感じられると思います。
私自身のように、マンハッタンで結婚し、その後ニュージャージー州で子どもが生まれるようなケースでは、結婚証明、出生証明、戸籍、国籍、パスポートがすべて後からつながってくるため、最初の婚姻届の段階で書類をきれいに整理しておくことがとても大切です。
また、婚姻届を提出する際に新本籍を記入することになりますが、こちらは日本国内で地番(番地)が存在する場所であれば、どこでも原則として自由に決めることができます。お二人の新居やどちらかのご実家、思い出の場所などを選ぶ方が多いです。
私の場合、諸々の事情から東京タワーの地番を新本籍にしましたが、婚姻届のコピーをとっておくことを失念したため、子供が生まれた際にてんやわんやしてしまいました。
ニュージャージー州で子どもが生まれると、今度はNJの出生証明が中心になる
結婚申請はマンハッタンでしたが、私たちの場合、子どもはニュージャージー州で生まれました。
ここでまた、手続きの管轄が変わります。
結婚はニューヨーク市、子どもの出生はニュージャージー州。
つまり、一つの家族の中でも、婚姻証明はニューヨーク、出生証明はニュージャージーという形になるわけです。
ニュージャージー州で子どもが生まれた場合、出生証明書、いわゆるBirth Certificateはニュージャージー州または出生地のLocal Registrarを通じて取得することになります。
ニュージャージー州のVital Statisticsでは、出生、婚姻、死亡などのVital Recordが扱われており、認証コピーを取得する際には、本人確認や関係性を示す資料が必要になる場合があります。
また、ニュージャージー州の公式案内では、Certified Copyは発行機関のRaised Sealが付いた州指定の安全用紙で発行されると説明されており、外国政府へ提出する場合にはApostilleが必要になることもあります。
このあたりは、実際に子どもの手続きを進めるときにとても重要になります。
なぜなら、日本側へ出生届を出す場合や、日本のパスポート申請、将来的な国籍・戸籍関係の手続きでは、アメリカ側の出生証明書が基礎資料になるからです。
NJで子どもが生まれた後に実際に必要だった手続き
ニュージャージー州で子どもが生まれると、出産前後から一気に現実的な手続きが始まります。
赤ちゃんが生まれる前後は、もちろん気持ちとしては出産そのものや母子の体調が一番大切ですし、病院での入院、授乳、退院準備、小児科の予約などで頭がいっぱいになります。
ただ、日米国際結婚家庭の場合は、それと同時に、アメリカ側の出生証明、Social Security Number、日本側の出生届、国籍留保、必要に応じて日本・アメリカ両方のパスポートの取得など、かなり多くの書類手続きが関係してきます。
私自身も、ニュージャージー州で子どもが生まれてみて、「出産が終わったら一段落」ではなく、「ここから日米両方の家族記録を整える手続きが始まる」という感覚を強く持ちました。
特に、結婚はマンハッタンで、出産はニュージャージー州という流れだったため、婚姻証明はニューヨーク、出生証明はニュージャージー、日本側の戸籍は日本または在外公館というように、同じ家族の記録なのに管轄が分かれる点がとても印象的でした。
まず病院で出生情報を登録する
ニュージャージー州で出産すると、まず病院側で赤ちゃんの出生情報を登録するための書類手続きが行われます。
ここで入力される赤ちゃんの名前、親の名前、住所、出生日時、出生地などが、その後のBirth Certificateの基礎になります。
個人的に一番気をつけた方がよいと思ったのは、赤ちゃんの名前と親の名前の英語表記を、最初の段階で慎重に確認することです。
特に日米家庭の場合、日本語名、英語名、ミドルネーム、ラストネーム、ハイフンの有無、日本の戸籍にどう載せたいか、日米のパスポートにどう載せたいかが後から全部つながってきます。
アメリカ側のBirth Certificateに一度記載された名前は、後から訂正することも可能な場合がありますが、当然ながら余計な手続きが増えます。
そのため、病院で出生情報を登録する段階で、夫婦で名前のスペル、順番、ミドルネームの有無、日本側での表記をよく確認しておくことをおすすめします。
これは本当に小さなことに見えますが、後で日本の出生届、日本のパスポート、アメリカのパスポート、Social Security、保険、税務書類に全部つながるため、最初の入力がとても大切です。
NJのBirth Certificateを取得する
病院で出生情報が登録された後、ニュージャージー州の出生記録としてBirth Certificateを取得できるようになります。
ニュージャージー州の公式FAQでは、病院が出生証明書を完成させた後、現在のシステムでは出生記録は通常3週間以内に登録されると説明されています。
つまり、出産直後すぐにCertified Copyを入手できるわけではなく、病院側の登録と州・自治体側の処理が終わるまで少し待つ必要があります。
Birth CertificateのCertified Copyは、アメリカ側の本人確認やパスポート申請だけでなく、日本側の出生届や将来の各種手続きでも基礎資料になるため、早めに複数部取得しておくと安心です。
個人的には、Birth Certificateは「とりあえず1通あればよい」と考えるより、アメリカパスポート用、日本側出生届用、保険や将来の手続き用として、余裕を持って複数部取得しておく方が実務的には安心だと感じました。
特に、パスポート申請などでは原本やCertified Copyを提出することがあり、返却まで時間がかかる場合もあるため、手元に予備があるとかなり気持ちが楽です。
Social Security Numberの手続き
アメリカで子どもが生まれると、Social Security Number、いわゆるSSNの手続きも重要になります。
多くの場合、病院で出生登録を行う際に、赤ちゃんのSSNも同時に申請するかどうかを聞かれることがあります。
SSNは、将来的な税務、健康保険、銀行口座、扶養家族としての申告、各種行政手続きに関係するため、アメリカで生活する予定がある場合は、早めに取得しておくのが一般的です。
実際に子どもが生まれてみると、健康保険への追加、税務上の扶養、医療機関での登録など、思った以上に早い段階で子どもの情報が必要になります。
そのため、病院でSSN申請を同時にできる場合は、名前のスペルがBirth Certificateと一致していることを確認したうえで進めるとスムーズだと思います。
私の場合、SSNカードは子供の出生日から数週間で自宅住所に郵送されてきました。
後に説明するトランプアカウントの開設にもSSNが必要となります。
日本側の出生届と国籍留保を忘れない
日米家庭で特に重要なのが、日本側の出生届です。
アメリカで子どもが生まれると、アメリカ側では出生地主義により、原則としてアメリカ市民権を取得します。
しかし、日本国籍を持つ親の子どもとして日本国籍も維持したい場合、日本側の出生届と国籍留保の手続きを期限内に行う必要があります。
外務省の案内では、外国で生まれた子について、出生により外国の国籍も取得した場合、日本国籍を留保する意思表示をした出生届を、生まれた日を含めて3か月以内に在外公館または本籍地の市区町村役場へ届け出る必要があるとされています。
ここは本当に大切です。
出産直後は毎日が慌ただしく、睡眠不足もあり、気づいたら数週間が過ぎていることがあります。
しかし、日本側の出生届と国籍留保には期限があるため、赤ちゃんが生まれてから準備を始めるというより、出産前から「どの書類が必要か」「どこに提出するか」「翻訳はどうするか」を確認しておいた方が安心です。
個人的にも、国際結婚家庭では、出産準備リストの中にベビーカーやベビーベッドだけでなく、「日本側出生届」「国籍留保」「Birth Certificateの取得」「翻訳」「パスポート申請」まで入れておくべきだと感じました。
日本側出生届で準備する書類のイメージ
日本側に出生届を出す場合、提出先は在ニューヨーク日本国総領事館などの在外公館、または日本の本籍地の市区町村役場になります。
必要書類は提出先や状況によって変わる可能性がありますが、一般的には以下のような書類を準備するイメージです。
| 書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 出生届 | 日本側へ子どもの出生を届け出るための書類です。外国で生まれた子どもが外国籍も取得する場合、国籍留保の意思表示が非常に重要になります。領事館で直接入手するか、郵送で出生届入手の届け出を提出して入手します。 |
| NJのBirth Certificate | ニュージャージー州で子どもが生まれたことを証明する書類です。Certified Copyを取得しておくと安心です。 |
| Birth Certificateの日本語訳 | 英語の出生証明書を日本側で確認できるようにするための訳文です。翻訳者名の記載が必要になる場合があります。 |
| 日本人親の本人確認書類 | 日本のパスポートなど、届出人や親の身分を確認する書類を求められることがあります。 |
| 婚姻関係を示す情報 | すでに日本側に婚姻届を出して戸籍に反映されているかどうかで、確認される内容が変わる可能性があります。 |
| 連絡先・返送用書類 | 郵送で手続きする場合、返送方法や連絡先情報が必要になることがあります。 |
ここで重要なのは、Birth Certificateに記載された英語名を、日本語の出生届でどのように表記するかです。
英語名をカタカナにするのか、日本名と英語名をどう整理するのか、ミドルネームをどう扱うのかは、戸籍上の記載に関係するため、提出前に慎重に確認した方がよいです。
私の子供の場合、ファーストネームはアメリカ名、ミドルネームは日本名にしてアメリカ側の手続をしましたが、日本の出生届上は日本名のみを記載し届け出を提出しました。
先述で少しふれましたが、子どもの出生届は、親の婚姻届とつながってきます。
私は本籍地を東京タワーの住所にしましたが、婚姻届のコピーをとっておくことを失念したため、正確な表記が再度確認する必要があったのと、妻の名前のカタカナ表記をどのように記載したかなど、出生届の記入で大変な思いをしました。
結局、日本にいる両親に戸籍謄本を入手してもらい、米国の自宅へ郵送してもらうなどの対応が必要となりました。
もしアメリカで先に結婚していて、日本側の婚姻届がまだ戸籍に反映されていない場合、出生届の手続きで追加確認が必要になることがあります。
その意味でも、マンハッタンで結婚した後、日本側の婚姻届を早めに出しておくことは、後で子どもの出生届を進めるうえでも大切だと感じました。
アメリカパスポートの申請
子どもがアメリカ国外へ旅行する予定がある場合、赤ちゃんであってもアメリカパスポートが必要になります。
米国国務省によると、16歳未満の子どものパスポートはオンラインや郵送で更新できず、申請者本人である子どもと親または保護者が、パスポート受付施設で申請する必要があります。
また、米国パスポート申請では、米国市民権を示す証拠として、州・市・郡などが発行した要件を満たす米国出生証明書がPrimary Evidenceの一つとされています。
実務的には、アメリカパスポートの申請では、子どものBirth Certificate、親の本人確認書類、親子関係の確認、パスポート写真、申請書、手数料などが関係します。
特に16歳未満の子どものパスポートでは、両親の同意や出席が重要になるため、夫婦のスケジュールを合わせておく必要があります。
個人的には、海外旅行の予定がある場合は、Birth Certificateが取れたら早めにパスポート申請の準備を始めるのが安心だと思います。
赤ちゃん連れの旅行は予定どおりに進まないことも多いので、書類だけでも早めに整えておくと、後から慌てずに済みます。
日本パスポートの申請
子どもの日本国籍を留保し、日本側の戸籍に出生が反映された後は、日本パスポートの申請も検討することになります。
日本のパスポートを取得するには、通常、日本側で戸籍に子どもが記載されていることが前提になります。
そのため、アメリカで生まれた日米家庭の子どもの場合、流れとしては、まずBirth Certificateを取得し、日本側へ出生届と国籍留保を行い、戸籍に反映された後に日本パスポートを申請する、という順番になります。
ここで時間がかかる可能性があるのは、日本側の出生届が戸籍に反映されるまでの期間です。
出産後すぐに日本へ渡航する予定がある場合や、急ぎで日本パスポートが必要になる可能性がある場合は、在外公館へ早めに相談しておく方が安心です。
また、日米両方のパスポートを持つ子どもの場合、どの国へ入国・出国する際にどちらのパスポートを使うのかという実務上の注意点も出てきます。
これは家族の渡航計画にも関係するため、パスポートを取得するだけでなく、実際の使い方も事前に確認しておくとよいと思います。
個人的に作っておいてよかった「出生後手続きリスト」
私自身の経験から言うと、子どもが生まれた後に必要な手続きは、頭の中だけで管理しようとするとかなり大変です。
出産後は本当に時間の感覚が変わりますし、赤ちゃんのお世話、病院関係、保険関係、家族への連絡などが重なって、書類の期限を忘れやすくなります。
そのため、日米家庭では、出産前に以下のようなリストを作っておくとかなり役立つと思います。
| 優先度 | 手続き | 目安 |
|---|---|---|
| 高 | 病院で出生情報を正確に登録する | 出産直後 |
| 高 | SSNの申請確認 | 病院で同時申請できる場合が多い |
| 高 | NJ Birth CertificateのCertified Copy取得 | 出生記録登録後、できるだけ早め |
| 高 | 日本側出生届・国籍留保 | 生まれた日を含めて3か月以内 |
| 中 | 子どもの健康保険への追加 | 出産後できるだけ早め |
| 中 | アメリカパスポート申請 | 渡航予定がある場合は早め |
| 中 | 日本パスポート申請 | 戸籍反映後、必要に応じて |
| 中 | Birth Certificateや届出書類のコピー保管 | 各手続きと並行して |
このリストを見ると分かるように、出産後の手続きは「アメリカ側だけ」でも「日本側だけ」でも完結しません。
ニュージャージー州で生まれた子どもは、アメリカ側ではNJのBirth Certificateを出発点にして、SSNやアメリカパスポートにつながります。
一方、日本側では、そのBirth Certificateをもとに出生届と国籍留保を行い、戸籍に反映させ、日本パスポートへつなげていきます。
つまり、NJで子どもが生まれた日米家庭にとって、Birth Certificateは単なる出生証明書ではなく、アメリカ側と日本側の両方の手続きをつなぐ最初の重要書類なのです。
まとめ
私の場合、マンハッタンで結婚申請をし、その後ニュージャージー州で子どもが生まれたことで、日米国際結婚の手続きは本当に複数の制度をまたぐものだと実感しました。
ニューヨーク市でのMarriage LicenseとMarriage Certificateはアメリカ側の婚姻証明として重要ですが、日本人配偶者がいる場合は、日本側の戸籍に婚姻を反映させるための届出も忘れてはいけません。
また、ニュージャージー州で子どもが生まれた場合は、NJのBirth Certificateがアメリカ側の出生証明の基礎になりますが、日本国籍や戸籍を考えるなら、日本側の出生届や国籍留保の手続きも非常に重要になります。
日米国際結婚は、二人の愛情だけでなく、二つの国の制度をどうつないでいくかという実務的なプロジェクトでもあります。
マンハッタンで結婚し、ニュージャージーで子どもが生まれた経験を通じて感じたのは、国際結婚では「書類」は単なる事務作業ではなく、家族の歴史を両方の国にきちんと残すための大切な記録だということです。
面倒に見える手続きも、一つひとつ整えていけば、家族としての土台になっていきます。
これから日米国際結婚をする方には、ぜひ早めに情報を集め、必要な書類を整理し、アメリカ側と日本側の両方で家族の記録をきちんと残していくことをおすすめします。

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