William O’Neil氏の成長株発掘法②: CAN-SLIM法の「C」

お金

今回はWilliam O’Neil氏の成長株発掘法シリーズの第2回目となります。

第1回目を見逃した方は是非下記のリンクからご一読ください。

William O’Neil氏の投資手法の詳細については是非実際に書籍を購入してしっかりと咀嚼していただければと思います。

CAN-SLIMの「C」: Current Earnings

前回の記事ではCAN-SLIMは、7つの主要な投資原則から成り立っており、これらを組み合わせて株式市場での成功を追求すると書きました。

今回のシリーズ2回目では、CAN-SLIMの「C」である、「Current Earnings (現在の収益)」について解説していきます。

この原則で重要なポイントは、投資家は強力な成長を示す企業を見つけるために、過去数四半期での利益の動向を注視します。

具体的には、企業の最新の四半期決算を調査し、利益が増加しているかどうかを確認します。

これにより、成長が持続している企業を優先的に選定します。

この成長が継続している場合、その企業は市場で注目されやすく、投資家にとって魅力的な選択肢となります。成長が確認されることで、将来の株価上昇の期待が高まります。

利益とは何を見れば良いかというと、四半期のEPS(一株当たり利益)と売り上げになります。

EPS(一株当たり利益)

EPS(一株当たり利益)と聞いてなんだろうと思う方もいると思いますので簡単に解説します。

EPSは「Earnings Per Share(一株当たり利益)」の略で、企業の純利益を発行済みの株式総数で割った値を示します。EPSは、企業の収益性を測定する指標の一つであり、株主にとっては一株あたりの利益を示すための基準となります。

EPSは以下の式で計算されます:

EPS = Net Income / Weighted Average Number of Shares Outstanding

ここで:

  • Net Incomeは企業の純利益を表します。
  • Weighted Average Number of Shares Outstandingは期間中の発行済み株式数の加重平均です。

EPSの値が高いほど、企業の一株当たりの利益が増加しており、これは投資家にとって肯定的なサインとされます。

EPSは利益性を評価する際に用いられ、他の財務指標や比率と組み合わせて企業の健全性を判断するのに役立ちます。

当期のEPS増加が大きい銘柄を探す

株を買うときは、当四半期(最新の決算が発表された四半期)のEPSが前年同期比で、大きな伸び率を示している銘柄を選ばなければならないとWilliam O’Neil氏は語っています。

1952年から2001年までの期間に最も成長した600銘柄を分析すると、そのうち4つの銘柄のうち3つが、目覚ましい株価上昇を始める直前の四半期決算発表で、平均70%以上のEPS増加を示していました。

当期四半期ではEPS増加が報告されなかった企業でも、次の四半期には平均90%の伸び率を示していました。

1910年から1950年までの期間に大化けした銘柄の大半は、価格上昇前に40%から400%のEPS増加を示していました。

EPSが低い銘柄を買う必要はなく、全上場銘柄の中でこのようなEPS増加を示すのはごくわずかです。

投資家は冴えない銘柄ではなく、並外れた銘柄を見つけるべきであるとWilliam O’Neil氏は語っています。

ただし、銘柄を見つけるプロセスには様々なリスクが伴い、これを避ける方法を学ぶ必要があります。

EPSは現代において最も重要な要素であり、その伸び率が大きければ大きいほど好ましいです。

1990年代後半のインターネットブームでは、実際には多くの企業が赤字であり、AOLやYahooなどごく一部がEPSを伸ばしていました。

冴えない銘柄ではなく、並外れた銘柄を見つけることが重要となります。

一度きりの特別利益は無視する

成功する投資家になるためには、一時的な収益に惑わされないことが重要です。

たとえば、あるパソコンメーカーが前四半期のEPSに不動産の売却で得た臨時収入を含めた場合、この収益は一時的なものであり、企業の持続的な収益性を示しているわけではありません。

このような一時的な出来事による収益は無視すべきです。

シティグループが過剰な借り入れをしてサブプライム危機に巻き込まれる前、1990年代に商業不動産の売却による臨時収入を加算してEPSを向上させていた歴史もあります。

当期EPSの増加率に最低目標を設定する

投資初心者も経験豊富な投資家も、直近の四半期のEPS(一株当たり利益)が前年同期比で18%から20%の上昇しかない銘柄は買いを避けるべきだそうです。

成功した投資家はEPS増加率の最低目標を25%や30%に設定しており、大きな成長を遂げた企業は共通してこの割合以上のEPS増加を示しています。

成功率を上げるためには、過去2四半期連続で大幅にEPSが増加している銘柄を選ぶべきであり、強気相場では40~500%以上の増加率を重視すべきとWilliam O’Neil氏は語っています。

売り上げが増加した企業を探す

四半期EPSが上昇していても、売り上げが直近四半期に25%以上増加しているか、または売り上げ増加率が直近3四半期で加速していることが最低条件とWilliam O’Neil氏は語っています。

新しい株式には、直近8、10、または12四半期で平均売り上げ増加率が100%を超えるものがあり、これらの銘柄は注意深く調査する価値があります。

また、直近の四半期の当期純利益が最高値かそれに近い水準を記録しており、その企業が所属する業界のなかでも最上位であることを銘柄選択の条件として加えれば、成功率はさらに向上します。

2四半期連続でEPS増加率が減少したときは注意

四半期のEPS増加率が上昇している銘柄を把握することは重要だが、同様に、EPS増加率が減少し始めている銘柄や著しく減少した銘柄を認識することも同じくらい重要です。

例えば、毎四半期で50%の増益を示していた企業が急に15%の増益にとどまる場合、その銘柄は何らかの問題を抱えている可能性があるため、買いは慎重に検討すべきです。

ただし、どんなに優れた企業でも一時的に業績が悪化することがあるため、企業のEPSが悪化したと判断する前に、2四半期連続で著しく増加率が減少したかを確認するべきであり、具体的には前回の増加率に比べて三分の二以上の減少を目安にすべきです。

まとめ

  • CAN-SLIMの「C」は、「Current Earnings(現在の収益)」を指し、強力な成長を示す企業を見つけるために過去数四半期の利益動向を注視する原則
  • 具体的には、最新の四半期決算を調査し、企業の利益が増加しているかどうかを確認
  • EPS(一株当たり利益)はこの原則の重要な要素であり、EPSの増加率が大きい企業を選ぶこと
  • 成功する投資家はEPSの増加率に最低目標を設定し、売り上げも重視
  • EPS増加率が減少し始めた企業や著しく減少した企業にも注意が必要であり、2四半期連続で減少が確認された場合は慎重に検討すべき

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